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伝説の鹿 第一幕

フェード・イン

大波と小波が助け合って
非番のつもりの小舟が一隻
不本意な航海へ
ひとりで

遠くで悪い予感がして
その夜 雨はずっと降った

すずめチュン
波止場の洋食屋から満腹の男が
腹太鼓鳴らしつつ
出てきたのは明くる朝
朝露が美しいと皆言った
もっと美しいのは牡鹿
山からひとりで下りてきた
太鼓につられて下りてきた

鹿の一蹴りがすべてを浄化するという
砂も木も街もすべて
一票も行政も
いちばん大げさな金庫の中身もすべて
先祖は昔そのように語った

いまでは知識人がすます
鹿の
蹄のすき間に湧いた
汚い悪玉菌が
風邪を流行らせ
その風邪をこじらせ
学校を閉め
平日を休日に替えて
雨を降らせて
不漁を招いて
ひいては国会をねじって
と。

哀れな牡鹿、と
浜の砂しめらすのは
男のお涙
牡鹿の蹄が
蹄が砂を蹴り上げる
横暴な風評を
毅然として払い除けるように、
というのは
人間様の勝手な
情景描写で
過剰美化で

ほんとうのところは
ただ牡鹿のこころに
あって。

洋食屋の女店主が琵琶を弾く

お空はぐったりねずみ色

イーグルのするどい支配が続き

すぐに ハイ
鹿、帰宅


ここまでは順風だが
松の木一本、浜の瀬で
男が小石
拾って投げて
その幹にぶつけた、この時点から
運命の歯車が...!
とまでは言わぬにしても

速達、
家が

家が火事との連絡で

(心拍)
ひ、冷や汗 二、三垂れ
垂れるも、



さいわい、
泊まりに来ていた親戚は
たしか映画に
いや寿司に 博打に
ダウンタウンへ繰り出して
いて
いるはずであり
祟りの心配だけは免れたとは言え

だいじな家財もいくつかあった








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作者

HN:
mpsl
年齢:
1930
性別:
非公開
誕生日:
0094/06/16
職業:
趣味:
狼狽
魚:








めだか






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